クラナド 18話 「逆転の秘策」

いまさらと言えば今更なのかもしれないが、アニメ「クラナド」にはまっている。このアニメについてはもういろんな人がさんざん書いているので僕が改めて書くようなこともないと思うのだが、ほかの人の解釈を読んでいて一つだけひっかかったことがあるので書いておこうと思う。

それは、18話 「逆転の秘策」で「藤林姉妹のどちらが先に泣いたか」ということである。

このアニメ、特にこの18話の「藤林姉妹と智代が朋也のことをあきらめる」件の演出が神がかっていて、そのこと自体はほかでも触れられているのだが、藤林姉妹の姉の杏が先に泣いたと思っている人が意外に多いような気がするのである。

実は僕も初見ではそう読み取っていたのだが、あの状況で姉が先に涙を流すという点に少し違和感があって、もう一度見直してみたのである。そしてよくよく見てみると、実は妹が先に泣きだしたと解釈すべきポイントが結構あるようなのだ。

一つは、椋が「今まで、本当に…」と言った時に椋を不自然に真後ろから見るカットになっていることである。これはもちろん杏の顔を正面から見る絵がほしかったとも考えられるが、そのために椋の後頭部をわざわざ見せる必要はないのではないかと思うのだ。

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もう一つは、杏の視線の動きとセリフである。上の絵で杏の視線ははっきりと椋にいっているが、その時杏が目にして「やだ…」と言ったものは、椋の涙だったのではなかろうか、という気がするのだ。そのあと杏は妹から視線を外して「もらい泣き」してしまうのである。もちろんそこには自分の気持ちの部分や、自分の気持ちに妹が気づいていたこともあったのだろうが。

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三つ目は改めて椋を正面から見たときの顔が「出来上がりすぎている」ことである。杏より後で泣き出したのならあそこまでぐしゃぐしゃにならないのではないかと思うのだ。

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そう思ってこのシーンを見てもらうと、椋が先に涙を見せる絵を「あえて見せずに」「でもよく考えればわかるように」演出しているように思えてくるのだ。そう考える方が自然なカット割りなのである。杏の視線の動きのみで椋の状態を表現しようとしているのである。

このシーンはもう五〇歳近いおっさんがもらい泣きをしてしまうほどの感動シーンなのだが、それとは別に本当に感心するしかないような作りになっている。

もう一つ際立っているのは智代の描き方である。

智代は「そういうことか…」と一言漏らした後、一度メンタルを立て直して試合に戻る。

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勝った後、泣いている姉妹の後ろで二人を見ながら虚ろな表情で棒立ちするのだ。一緒に泣きたい自分を押し殺すように。

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最後は智代の顔に寄りつつその目線の先の青空のカットで終わる。数分のシーンだが、本当に神がかった演出だと思う。

このアニメ、細かく見ていくと本当に勉強になることが多い。ブルーレイ買おうかなぁ…