大きなゆきだるま~

映画「アナと雪の女王」の吹き替えを娘と見てきて、ついでにサントラも入手してと、なんだかズッポリはまっている状況である。

で、英語の歌詞でサントラを聴いていると、ところどころひっかかるところがある。日本語の歌詞が英語の歌詞と全然違う部分があるのである。

「アナと雪の女王」の翻訳者はずいぶん苦労されたと思われるし、結果としていい仕事をしているとは思うのだが、それでも文字数の関係で吹き替えでは恐らくかなりの逡巡を経て今の歌詞があてられているのではなかろうか。

それでも、だいぶ意味が変わってしまっている、というか結構大事なところが削れてしまっていると思える部分がいくつかある。

たとえば、「雪だるま作ろう」で、幼少期のアナは鍵穴に口をあけて「大きな雪だるま~」と日本語で歌っているのだが、この部分の英語の歌詞は「It doesn’t have to be a snowman」である。直訳すれば「雪だるまにならなくてもいいからさぁ」という意味だ。

アナはなぜこんなことを言っているのだろう。

日本語でアナはエルサに「雪だるま作ろう」と言っっているが、これも元の詩の直訳は「Do you want to build a snowman?」(あなたは雪だるまを作りたいと思わないの?)である。「作ろう」と言っているのではないのだ。「作ってよ」と言っているのである。

アナがエルサに事情も知らず無邪気にお願いして断られるこの構図は、氷の宮殿でアナがエルサにアレンデールを救ってほしいと頼む状況と同じである。氷にの宮殿に向かうアナもその願いがかなえられるという根拠は何も持っていなかったし、心のなかで「やっぱ無理かも」という気持ちがあったはずである。何度もわざわざ「大丈夫よ」と繰り返す様子を見てもそのことが窺える。

この「氷の宮殿での説得失敗」を、この最初の段階でさりげなく歌の中に織り交ぜて示唆しているのがこの「It doesn’t have to be a snowman」という歌詞なのではないかと思うだ。

この映画では、「愛と怖れ」が大きなテーマとなっていて、その対象関係がいろいろなところに投射されている。「アナとエルサ」「オラフとマシュマーロウ」「アレンデール宮殿と氷の宮殿」といった具合である。

つまりこの物語で「雪だるま」はアナとエルサの間の愛の象徴として登場しており、ストーリーの全編を通して大きな意味を持たされているのだ。

アナがエルサに雪だるまを要求するというのは、宮殿でエルサに「一緒に暮らそうよ」と呼びかけるのと同じことなのである。

雪だるまと言えば、エルサが「Let it go」を歌いながら残った片方の手袋を高く投げあげ、自分の解放を宣言した直後に無意識に作ったものがこの雪だるまだったことも非常に意味が深い。怖れから解放された魂から最初に出てきたものが愛の象徴だったのだから。

このあたりの描写をあまり口説くならないようにサラッと見せているところは本当に上手いなぁと思わされる。何度も鑑賞に堪えるというか、見るたびに発見があって飽きさせないし、様々な解釈ができるのである。名作というのはこういうものなのだなぁとつくづく思う。

早く日本版ブルーレイでないかなぁと。

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